浮世絵 昔ばなしの戯猫又年とへて古寺に怪をなす図/道外化けもの夕涼み/化物忠臣蔵

昔ばなしの戯猫又年とへて古寺に怪をなす図

江戸時代後期から流行した歌舞伎の演目、「猫騒動物(ねこそうどうもの)」。古くは今川家のお家騒動に怪猫を組み合わせた人形浄瑠璃があり、お家騒動にからめて怪猫のたたりが描かれるようになりました。本作もまさに、猫又という猫の妖怪が、鉄漿(おはぐろ)の老婆の幽霊とともに、寺西閑西と因幡之助の前に現れる場面を描いた作品。本性を表す怪猫を、三枚にわたって連ねる大胆な手法によりダイナミックに表現しています。

.

道外化けもの夕涼み

国芳のユーモアが溢れる、夏の夕暮れ時を楽しむ化け物たちを描いた作品。この画面だけでも国芳らしい遊びがいくつも仕込まれています。浴衣は、ドロドロ・・・という文字が柄になっているものや、骸骨柄など、夏らしい、また化け物らしいものを着ています。茶店のお品書きも凝られていて、まっくら湯や化物くず湯、ぶきび湯、天狗の玉子湯などが売られており、化け物の世界ならではの品揃えがユーモアたっぷり。さらに、植木は踊り、茶釜には狸の顔、目がついたやかんなど、細かいところまで見れば見るほどクスッと笑えるような描写があり、化け物なのに面白い、そんな世界に引き込まれます。

.

化物忠臣蔵

色鮮やかな4コマ漫画のような画面が三枚続きになった作品。「仮名手本忠臣蔵」の全12段を描いたものです。とはいっても、役者は全員化け物になっており、時代背景にも逆らう国芳らしいアイデアを楽しむことができます。話のクライマックス、討ち入りに至っては、高師直の伸びきったろくろ首が、骸骨顔の義士にのこぎりで切られています。ろくろ首の描写はほかの段でも活躍。ぜひ注目して見てみてください。