浮世絵 ぼんぼん/池の金魚と猫/似たか金魚

ぼんぼん

子どもたちが手をつなぎながら“ぼんぼん歌”を歌って歩くお盆の季節の遊びが描かれています。金魚たちが持つ扇子はすくい網になっていたり、水中の藻は柳に見立てられていたりと、細かいところまで金魚が擬人化された世界が面白く表現されています。

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池の金魚と猫

数は多くないものの、国芳は美人画も出版しており、大判の作品が多かったと確認されています。国芳の美人画は、日常での何気ない場面を明るく描き、人物も笑顔が多いという特徴があります。本作もまさに江戸遊女たちの何気ない様子を切り取った作品。猫を抱く女性の目線は池のなかを泳ぐ金魚に向けられており、金魚や猫など、いきもの好きな国芳らしい描写になっています。

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似たか金魚

実在の役者の似顔絵を描いた本作。亀は四代目中村歌右衛門。個性的な顔をしている金魚や亀は皆、実在の役者の似顔絵で、天保改革によって役者の絵が禁止されてしまったことから生まれたアイデアです。顔だけではなく、金魚の柄は役者の家紋になっていたりと、細かいところまで役者絵のパロディとして表現されています。